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5. 放射能測定器の校正

■校正しないと数値の比較ができない
測定器のハードウェアが構築できたら、後は、校正作業に入ります。

校正には主にエネルギー校正と、効率校正があります。




























エネルギー校正は先の段階で終えているので、ここではエネルギー校正が完了しているという前提で、その先にある効率校正の方の説明をしたいと思います。

厳密には、部屋の温度を一定に保たない限り、エネルギー軸はずれてしまいます。なので部屋の温度を一定にするためにエアコンを使い続けたり、温度変化の少ない夜間に行うといった方法も有効です。

■バックグラウンドを測定する
まず、バックグラウンドを測定して、測定器に飛び込んでいる放射線の状況を記録します。マリネリ容器に測定に使いたいだけの容量だけ水を入れ、測定します。

マリネリ容器に何を使うかは、各自の環境や使いたい容量によって左右されますが、ここで述べる校正では70mLの小型タッパを使っています。これに70mLの水を入れ、NaIシンチレーターの上に乗せて、測定を開始します。ここで入れる水は、本来、蒸留水であることが望ましいのですが、わざわざ買うのも面倒なので、うちでは大震災以来、定期的に備蓄している水で古くなったものを使っています。

これは、長く放置した水であれば、天然に含まれる放射能、ビスマスや鉛といったものが完全に崩壊して不検出になり、実質、蒸留水に近い物になると想定できるからです。

バックグラウンドの測定時間は、検体の測定時間よりも長い必要があり、また、長時間にわたって測定することでエネルギー軸がずれることは避けられないため、それらの変動要因を吸収できるように、温度変化の少ない夜中に測定するか、丸一日測定して、変動要因を減らす(昼も夜も含まれるようになり、平滑化される)といったことも良いと思います。

うちでは丸一日測定をしました。

■KCL(塩化カリウム)を測定する
続いて、KCL(塩化カリウム)を測定します。KCLにはK-40(カリウム40)が含まれているので、K-40の校正をこれで行うことができるのです。測定に際しては、先に測定したバックグラウンドデータをベクモニのバックグラウンドファイルとして登録してください。なお、ここでは14400秒測定しました。





■Cs-134の校正

ここで、ベクモニの測定結果が出ているところの左上にある設定を[cps]にします。これはCounts Per Secondの略で、一秒あたりに何カウントのパルスを拾ったかどうかを表す数値です。



ここで出てくるROIの[Cs-134校正]は、Cs-134の検出されるエネルギー軸730-862keVの範囲に出たパルスが一秒あたり何カウントだったのかを示すものです。
(このROIは校正のために便宜上、私が設定したものです、設定内容は後日追記)

*バックグラウンドの減算

まず、Cs-134の領域にかかっているバックグラウンド分のカウント数を減算します。




*K-40のスピルオーバー補正

続いて、Cs-134の領域にかかっているK-40のスピルオーバー分を減算します。




■Cs-137の校正